かぞく

現代の多様な「かぞく」について

現代社会では、「家族」のあり方が大きく変化し、多様な形態の「かぞく」が存在するようになりました。伝統的な「家族」は、親と子ども、祖父母などからなる核家族や拡大家族が中心でしたが、今では結婚や血縁にとらわれない様々な「かぞく」の形が生まれています。ここでは、子どものいる同性パートナー、シェアハウス型の拡大家族など、多様な「かぞく」について解説します。

1. 子どものいる同性パートナーのかぞく

同性パートナーが子どもを育てる家族は、世界的に増えており、多様な家族形態の一つとして社会的にも認知され始めています。

  • 養子縁組や人工授精・代理出産:同性パートナーが子どもを育てる方法には、養子縁組や人工授精、代理出産などがあります。これにより、同性カップルが法的に親となり、子どもと共に生活する「かぞく」としての形が成立します。
    例えば、女性カップルが人工授精を利用して妊娠し、2人で子育てをする場合や、男性カップルが養子を迎え入れるケースがあります。
  • 法的課題:日本では同性婚が認められていないため、同性カップルの子育てに対する法的保護が十分でない場合があります。親権や相続、医療の同意などの問題に直面することがあり、これらの法的課題が同性カップルの家族形成を難しくしている一面もあります。
  • 家族の意味:このような家族は、従来の「家」制度から離れ、血縁や性別にとらわれず、愛情や絆を基盤とした新しいかぞくの形を形成しています。子どもたちも、多様な価値観や柔軟な家族観を育むことが期待されます。

2. シェアハウス型の拡大家族

シェアハウス型の拡大家族は、血縁や婚姻関係がなくとも、共同生活を営む人々が互いに助け合いながら形成するコミュニティです。シェアハウスで生活する仲間が、一種の「かぞく」のような形を取ることが増えています。

  • 共同生活の意義:シェアハウスでは、複数の大人たちが共に家事を分担し、支え合いながら生活します。単に生活コストを抑えるだけでなく、互いに感情的なサポートを提供することが目的とされています。若者だけでなく、高齢者がシェアハウスに住み、孤独を避けながら日常生活を送るケースもあります。
  • 家族に代わるコミュニティ:シェアハウス型の拡大家族は、血縁や法律に縛られない形で生活を共有し、家族的な絆を築く点が特徴です。個々の住人が独立しながらも、食事や時間を共有し、まるで家族のような関係を築くことができます。
  • 異なる世代の共存:異なる年齢層が共に生活するシェアハウスもあり、そこでは若者が高齢者を助けたり、逆に高齢者が若者に生活の知恵を提供したりと、世代を超えた相互扶助が行われています。これにより、孤立を防ぎ、より豊かな生活を送ることができます。

3. 多世代居住のかぞく

多世代居住は、異なる世代が一つの住居で生活する形式で、伝統的な拡大家族に近い形を取りながらも、より柔軟な形態です。

  • 特徴:親世代と子世代、孫世代、さらには親戚や友人などが同居し、互いにサポートし合う家族形態です。これにより、育児や介護が協力しやすくなり、家族全体が安心して生活できます。
  • 現代の再評価:都市化や核家族化が進む一方で、再び多世代居住が注目されています。特に介護や子育てが必要な家族にとって、複数の世代が同居することで、負担を分担し合えるメリットがあります。加えて、親世代が働いている間に祖父母が子どもの面倒を見るなど、世代間の交流が自然に行われることも魅力です。

4. 友情を基盤にしたかぞく(友情かぞく)

友情かぞくとは、恋愛感情ではなく友情や信頼関係を基盤にして構築される家族です。恋愛や結婚にこだわらず、親友や友人同士が共に生活し、支え合う形で家族を形成することを指します。

  • 目的:友情かぞくは、経済的な利点や感情的なサポートを得るために形成されることが多いです。たとえば、一人暮らしを避けたい、老後の生活を安定させたいなどの理由で、信頼できる友人同士が協力して生活を共にすることがあります。
  • 新しい価値観の共有:この形態のかぞくは、従来の家族観を超えた、新しい人間関係の在り方を探るものです。互いに支え合い、助け合うという点では、従来の家族と共通する部分もありますが、血縁や恋愛関係が必要ないという点が特徴です。

5. 一人かぞく

現代では、一人かぞくという形態も重要な「かぞく」の形として捉えられています。単身で生活し、自分自身をケアし、支えるという形で「かぞく」のような役割を果たします。

  • 一人暮らしの選択:多くの人が意図的に一人暮らしを選択するようになっており、その場合も「かぞく」という概念が自己ケアや個人の成長を支える要素として重要です。自分自身との向き合い方や、自分をどのように支えるかがテーマとなることもあります。
  • 個人の尊重:一人かぞくは、自己決定権を尊重しながら、自分の人生を自由に選択する生き方を表しています。これにより、他者に依存せずに、自分の価値観に基づいた生活を送ることができます。

6. 典型的な核家族

核家族とは、夫婦とその子どもだけで構成される家族形態のことを指します。現代の多くの国で、特に都市部では核家族が標準的な家族形態として広く見られます。

特徴:核家族は、親とその子どもだけで構成されており、祖父母や親戚などの拡大家族とは一線を画します。夫婦が子どもを育てる責任を中心に家庭生活が営まれ、親の収入を基にして生活を維持します。家族内の意思決定も夫婦を中心に行われることが一般的です。

メリット:核家族は、家族全員がプライバシーを確保しやすいという利点があります。また、家庭内の意思決定がスムーズに行われやすく、親の教育方針やライフスタイルが柔軟に反映されやすいです。さらに、仕事の場所に合わせて住居を移すなど、家族単位で生活環境を自由に変えることが比較的容易です。

課題:核家族の課題の一つは、子育てや介護の負担が夫婦だけに集中しやすい点です。共働き家庭が増える中で、子どもを預ける保育施設や家事・育児の負担軽減が求められています。また、孤立感が強まりやすく、特に高齢者が独居生活に陥るリスクもあります。

現代における変化:現代の核家族は、共働き世帯や一人親世帯が増えるなど、従来の「父親が働き、母親が家事を行う」という性別役割分担が少しずつ変化しています。テクノロジーの進化や、家族の形を再考する動きにより、従来の核家族の定義も柔軟になってきています。

結論

現代では、「家族」という概念が従来の血縁や婚姻関係だけに限られず、多様な形で存在しています。同性パートナーが子どもを育てるかぞく、シェアハウス型の共同生活、友情を基盤にしたかぞく、一人で生活する自己ケアのかぞくなど、多様な「かぞく」の形が生まれているのです。これらの新しい家族形態は、個人の価値観やライフスタイルに応じて柔軟に選ばれ、社会全体が多様なかぞくを受け入れ、支える仕組みが求められています。

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